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見始めると止まらなくなる、ブレイキングバッド

ブレイキングバッドというこのタイトルの意味は、「悪いほうへ突き進む」というような意味です。

そのタイトル通り主人公の中年男が、どんどんと悪の道へ突き進みます。 主人公はウォルター・ホワイト。

高校の化学教師で、家族には妻一人、息子一人がいます。

息子は、脳性麻痺があり障害を抱えています。

アメリカでは高校の教師というのは、給料も安くあまり尊敬されない職業のようです。

ウォルターも生意気な生徒にののしられながらも毎日の授業を行い、放課後はカーウォッシュの工場でアルバイトをする毎日です。 障がい者の息子のために一円でもお金を儲けて将来に備えたいのでしょう。

また年下の妻との間に予定外の子供ができます。

50歳にして赤子がもうすぐ生まれるというのでは、将来が不安になっても仕方ないですよね。 そんなウォルターに、不幸が訪れます。

カーウォッシュ場でアルバイトをしていたところ、急に気を失って倒れてしまうのです。

救急車で運ばれるウォルター。

ただの風邪だろう……そう思っていたのに、医師の言葉は冷酷でした。

なんと末期の肺がんに侵されているというのです。 ただでさえ将来のお金が不安なウォルター。

障がい者の息子がいて、赤ちゃんも生まれるというのに。

自分の命がもう短いなんて。 そこでウォルターは、自分の特技を生かしてなんとか家族にお金を残したいと考えます。

残り少ない時間で大金を稼ぐには……これはもう、悪の道に走るしかありませんよね。 ウォルターの義理の兄には、麻薬取締局のエージェントであるハンクがいます。

ハンクはウォルターと正反対の性格です。

物静かで地味なウォルターと対照的に明るく、人懐っこく、人を引き付ける魅力があります。

そんなハンクから、麻薬押収の現場などの動画を見せられるウォルター。

山のように積まれた札束が映された動画に

「麻薬とはこんなに儲かるものなのか」と思わず考え込んでしまいます。 やがて自分の卓越した科学技術を使い高純度のメタンフェタミンを作り出すウォルター・ホワイト。

もとは一流の科学者であった彼は誰も作りえない高純度の商品を目指し、それを売りさばくルートも作り上げていく。 悪の道にはまっていくウォルターはその過程で、モノも盗み、人も殺します。

そしてブルーメスと言われるウォルターにしか作れないメタンフェタミンはやがて、麻薬組織の中で有名になり、ウォルター自身も恐れられるようになっていきます。 ブレイキングバッドの主人公は平凡な中年のおじさんで、高校の化学教師です。

この点から言っても他の海外ドラマと比べてかなり異質になります。

たいていの海外ドラマの主人公は、FBIなど特殊な仕事に就いていたり、超能力を持っていたり、若いイケメンだったりしますからね。

ハンサムでもなんでもない、平凡な中年のおじさんが主人公で、周りのキャストもいたって普通。

主人公のおじさんの妻も、普通のおばさんに見えます。

息子もイケメンではなく普通の男の子。

つまりは、登場人物に特別なものは何もなく、平凡なごく普通のアメリカの家庭での物語と言えます。 そんな主人公が末期がんを宣告されたことで、悪の道に走り始める。

物静かで温厚な主人公がどんどんと変貌していくのです。

いや、実は彼は、変貌はしていない。

ウォルターはもともと、悪の道に向いています。

悪知恵が働き、勘が良く頭が冴えている彼は敵の一歩先を読むのが得意なのです。

麻薬の製造に携わるようになってから、ウォルターの人生は一変します。

彼は物語の終盤で「私のしたことは家族のためではない、自分のためだった」

と言います。

家族のためにお金を残したい、そう言い続けて悪の道にはまった彼でしたが結局は自分のためにしたことだったんですね。 「悪いことをしていると、生きているという実感がした」

と言うのです。 悲しい最後を迎えますが、悪の限りをし尽くした彼には当然の結末です。 他の海外ドラマとは比べ物にならないほど異質で、そしてまとまり良く最終回を迎え、考えさせられるものも多いドラマでした。


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